『メヌエット』戯曲

言葉のない人形劇

※本作作品の著作権は著者に帰属します。上演をご希望の方は、有償・無償に関わらず西上寛樹(info@amano-jaku.com)までご連絡をお願いいたします。
また、縦書きのものをご覧になられたい方は、上記アドレスまでご一報ください。メールでお送りいたします。

「メヌエット」

 

2017年1月28日

作・演出 西上寛樹

美術 大澤直

音楽 足立裕子

 

 

出演 演者1(老夫婦)…永野むつみ

演者2(老夫婦)…大澤直

演者3(看護師)…戸前優子

 

 

開演

舞台には木の板を渡して作られた簡素な台。台の上にはスカーフが敷かれていて、さらにその上には、箱が置かれている。舞台奥にはこれから使うであろう小道具が並べられている。

開演時間になって・・・

 

M1

演者3、音楽の中で登場。

音楽終わりで箱を開く。

 

病室

M2

舞台を開くと、病室の風景。ベッドとカーテン。外には鉢植えが二つ。

演者3、小道具置き場から聴診器を取って身に着けると看護師の体。

病室をノック。入る。誰もいない。

看護師、ベッドの布団をめくる。誰もいない。

カーテンをめくる。女の子がいた。

女の子、カーテンを閉める。

看護師、カーテンを開ける。

女の子、カーテンを閉める。

看護師、カーテンを開ける。女の子を出す。

女の子、緑のある縁側に走り出て外の世界を見る。

女の子、いかにも外に出たそうに看護師を見つめる。

首を振る看護師。聴診器を見せる。

女の子、観念したのか、自らベッドに入り横になる。

看護師、ため息をついて女の子を診断。優しく布団をかぶせてあげるが、女の子は、ベッドを抜け出てカーテンの後ろに戻る。

老夫婦登場。(演者1と2)病院の待合室で外套を脱いで椅子に置くと病室へ。

看護師、老夫婦に会釈をして退場。(椅子に座る)

老夫婦、カーテンを開けて女の子に挨拶するが、女の子はカーテンを閉めてしまう。

老夫婦、お見舞いの品を出す。

小さなプレゼントの箱。

女の子、カーテンから出て来てプレゼントの元へ。

おじいさん、プレゼントのリボンを解いて箱を開ける。

ゼンマイ仕掛けの猿のおもちゃ。

女の子、つまらない。

おじいさん、おもちゃを仕舞う。

女の子、縁側に近づき、足を踏み出そうとする。振り返って老夫婦の反応を見る。

じっと見つめている老夫婦。

女の子、やめてベッドに戻る。布団をかぶって寝る。

ため息をつく老夫婦。

 

M3

     老夫婦は、一瞬「おや?」っとなる。

するとカーテンが動き出す。(演者2が動かす。この時から演者2はカーテン紳士の役に、演者1は女の子の役になる。)

カーテンは外れて立ち上がる。庭にあった空の植木鉢を帽子のように被ると、まるで紳士のような立ち姿。

カーテン紳士は、部屋の中で踊り出す。

目を覚ます女の子。カーテン紳士の姿に驚く。

女の子は、楽しくなる。

カーテン紳士は、ふわりと浮かんでこともなげに外の世界に足を踏み出す。

そして女の子を見つめる。

女の子は、縁まで来て、足を延ばそうとするが、引っ込めてしまう。

カーテン紳士、ふわりと部屋に戻り、女の子を優しく抱く。

そして、トーン! と外の世界に飛び上がる。

セットの家が片付けられる。

 

外の世界

M4

辺りを見回して歩き出すカーテン紳士と女の子。

女の子は、外の世界を歩き回るのは久しぶりの事である。

歩いて、走って、スキップして。外を歩くって楽しい。

演者3が二人の歩くのに合わせてスカーフを引く。

続いて黒いスカーフを出して、二人の前に。夜になったのだ。

街灯が一つ出される。

 

M4アレンジ

カーテン紳士と女の子がやって来る。

立ち止まる女の子。空を見る。カーテン紳士、気がついて女の子の元へ。

一緒に空を見上げると、月が出ていた。(演者3が月を出す。)

そこに、人影。思わず隠れる女の子。

やって来たのはカーテンのペア(着飾った紳士淑女。演者3が操作)。

会釈を交わすカーテン紳士とペア。女の子は、カーテン紳士の後ろに隠れる。

ペア、退場。

あとに続くカーテン紳士と女の子。

 

林(公園)

M5

木々の並ぶ公園の林。(演者3人が3本の木を舞台に置く)

カーテンのペアが登場して、ダンスを始める。

女の子とカーテンが少し離れた場所に登場。

カーテンは、女の子にペアの踊る場所に行こうと促すが、女の子は恥ずかし

がって行こうとしない。

M6

そこにカーテンたちがどんどん集まってくる。

公園は、さながらカーテンたちの舞踏会場となる。

カーテンたちが、やって来て女の子をダンスに誘う。

女の子は、恥ずかしがって出て行こうとしない。

そこにカーテンたちの中から、子どものカーテンが現れる。

子どものカーテンが、女の子の元へ。

女の子、思い切って足を踏み出す。

M7

みんなで手をつないでダンス。

踊りながら林を行き交う。(連なったカーテン達と女の子を3人の演者が遣う。途中3本を移動して林を行きかう様子を表現したり、ミニチュアを出して、遠くをいく一同の姿を表現したりする。)

一同、戻って来て倒れこむ。

疲れ果てたカーテンたちは、満足そうに挨拶などを交わし退場しようとするが、女の子は踊り足りない。

中央に出て、音楽を催促。

 

M8

女の子、一人で踊り始める。

カーテン紳士が歩み出て踊りに加わる。

二人のダンス。

他のカーテンたちは、囲んで見ていたが、やがて時間が来て、ひと組、またひと組と帰っていく。

女の子とカーテン紳士のダンスはやがて重力からも解放されて宙に舞い上がる。

そしてゆっくりと地面に下りる。

女の子は疲れてカーテンの抱かれて眠りにつく。

落ち葉がはらはらと落ちて来る。(演者3が落ち葉を降らせる)

 

M9

演者1と2も女の子とカーテン紳士から離れて一緒に落ち葉を降らせる。

演者1と2は、女の子が眠ったのを確認。

 

M10

演者1、女の子を優しく抱き上げてベッドに運ぶ。

病室のセットが出される。

病室

演者1、女の子をベッドに寝かしつける。

カーテン紳士を元のカーテンの姿に戻す。

演者1,2は、老夫婦に戻ってすっかり眠った女の子の姿を見守る。

二人、もう一つ忘れていたプレゼントをポケットから出す。

小さな靴。

老夫婦は、靴を縁側に並べてそっと病室を後にする。

 

M11(カーテンコール)

 

音楽の中、3人の演者が礼をして終演。