アシテジ世界大会観劇日誌10(ラスト)2017/05/27 「子供はパートナー」

アシテジ世界大会南アフリカinケープタウン終了しました。
10日間で25本の芝居を観ました。
移動も含めて約2週間。無収入どころか支出いっぱいのこの旅路。貧乏性を大いに発揮して、「これはプチ留学だ!」と、勝手に意気込み、観たもの、感じた事を文章にすることを日課としました。
もしかしたら、日本にいる方達にも何か有益な情報が届けられるかも、と毎回記事にテーマを設けてみましたが、ちょっと主観が強すぎたかなと感じています。あと長かったですね。Facebookには不向きの文章だったと思います。お付き合いいただいた皆様、どうもありがとうございました。
今回の南アフリカ世界大会には、本当に様々な作品がありましたが、総じて感じたのは、「子供に何かを与えようとしていない」事だと思います。演劇は、大人がすでに持っている価値観・道徳観を子供に教授する時間ではない、という考え方とも言えましょうか。逆に「子供がすでに持っている力を演劇によって引き出し、そこに共感する事で、大人自身が変わろうとしている。」作品作りに、そんな姿勢を感じました。
言い訳のようですが、僕だって普段からそう考えて活動しています。いや、むしろうるさい位そういうことを言っている。でも、そんなことわざわざ口にするまでもないくらい当たり前の事なんですね。
別に世界の流れに自分を合わせる事は、ないかも知れません。
でも、どうせやるなら答えのないものを追い求めたい。
「AnimalFarm」(南アフリカ発の「動物農場」)
「sensescapes」(ダリアさんのベイビードラマ)
この2作品は、人間の業と、生きている意味を教えてくれた気がします。でもその感覚は、観劇中のその瞬間にしかない。
演者もそう思っているんじゃないかなあ。答えは常に動いている。素晴らしい演劇はその答えに一瞬だけ触れる事が出来る。答えに触れたいなら、自分を常に動き続けられるような状態にしておかないといけない。そのためには、自分自身を規定しない事。答えを用意しておかない事。相手(その場にいる全ての人)にしっかり反応する事。
考えてみれば、子供達はいつもそうしています。だから大切なパートナー。子供達の力を借りて、大人だけでは到達できない答えに触れる。そう考えたら、こんなに楽しくて難しい仕事はちょっと他にはありません。うん。一生費やす価値がある。

※写真は、閉会式の様子。最終日に登ったテーブルマウンテン。ケープタウンの飛行場。

 

ここまでです。

長文にお付き合いいただきましてありがとうございました。


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